まず、智則さんが整骨の道を志されたきっかけを教えてください。
智則さん:ぼくのほうは前職で腰痛がひどくて、肉体的にもつらい仕事だったため、一生涯続けていくのに不安がありまして・・・。そのときに自分で治すという方法を考え始めて。昔から関心はあったんですけどね。で、その仕事をやめて専門の学校へ通い始めました。
令子さん:前職は花火師なんです。
え~~、そうなんですか!?
智則さん:ははは。ええ、そうなんです。一日中あぐらで作業したり、中腰で火薬を混ぜたりとか。仕事は素晴らしくやりがいもあったのですが体に不安を感じて。それでもともと健康業界に興味があったので、この道に進みました。
令子さんはどのようなきっかけで鍼灸マッサージを?
令子さん:わたしも前職は全然違う仕事で、東京の広告制作会社、その後独立してフリーで、スタイリストという仕事を行っておりました。当時この業界も、モデルさんをはじめ、ディレクター・カメラマンなどご一緒にお仕事する中で、身体の不調を訴えている方が多くて、モデルさんって撮影中ヒールをはいてなおかつ反るような無理な姿勢でずっと立ってたり。制作サイドのスタッフも忙しい生活でけっこう身体を壊していて。多くの人が鍼やマッサージに通っていました。もともと私も健康に関することに興味があって。富士に帰ってくることになり、一時期スタイリストの仕事を東京まで通ってやっていたのですが、さすがに体が辛くなって…。そんなときに、本格的にこの業界でやっていこうと思い、アロマ、カラーセラピー、カウンセリング、心理療法などの民間の資格をとったんですが、西洋医学と東洋医学の知識と技術を学んでちゃんと治療行為の出来る鍼・灸とあん摩指圧マッサージの国家資格を取りたいと思うようになりました。人の身体や東洋医学にはもともと興味があったので、日々の勉強はスゴク楽しかったです!
お二人とも別の分野のお仕事から進まれてきたんですね。その後どのような形でお仕事をされるようになったのですか?
智則さん:ぼくは東京の方で、接骨院を2件、整形外科2件で働いてきました。最後に働いていた整形外科では、患者さんの治療やリハビリ、医師と一緒に診察室に入ってレントゲンを診断、骨の整復など診察補助をしておりました。ここで5年位働いていましたね。診察室に入れてもらえたのも、今となっては貴重な体験でしたね。
令子さんはいかがでしょうか?
令子さん:わたしは、卒業後学校付属の治療院で4年ほど研修生として鍼灸・マッサージの臨床を積みながら、地元富士の訪問マッサージの会社で働いていました。そこは保険(医師の同意が必要)でのマッサージ・鍼灸を専門とする会社でした。脳梗塞の後遺症で麻痺がある方、寝たきりで関節の動きの悪い方、身体の痛みがお辛い方、難病による症状などでお困りの方などがいらっしゃる特別養護老人ホームなどの介護施設あるいは、ご自宅へ伺ってリハビリとしてのマッサージを行っていました。
智則さん:その後、ぼくは接骨院と整形外科の良いところをとった院を作りたくて、開業を決意しました。どうしても企業に入ると、その企業の方針に沿う治療を行うことが前提なので。そこで、お互いの治療感が一緒だった鍼灸マッサージを行う妻と、自分たちの思い描くような治療ができる場所を作りたいな、と思って開業に至りました。去年の8月からなのでちょうど一年過ぎましたね。
令子さん:以前一緒の学校に通っていて、そこで知り合ったんです。「心身一如」というのがモットーの学校で、心も身体も一緒に治療することが大切、ということを学びました。
特にどうようなことを心がけて、患者さんに接していますか?
智則さん:働いていた頃は、時間に追われたり、保険の点数に縛られていたところがあって、もっとじっくり患者さんに向き合いたかったんですね。
令子さん:ちゃんと治したいっていう方の、痛みの原因になっている根本をは何かということしっかりと探って、ご本人にもやってもらうこともご提示しながら、こちらはサポートしていく形です。辛い症状をどうにかしたくて、と来院される方が多いですね。
智則さん:痛みはもちろん、自律神経症状、たとえば頭痛、めまい、吐き気などですね。ほかにもしびれ、違和感・・・。そういった方が来院されます。
令子さん:仕事や家事、介護や育児など日々の疲れのメンテナンスで見える方も多いですよ。
なるほど。では、お二人の治療は、智則さんが整骨、令子さんが鍼灸マッサージという別の治療方法だと思うんですが、症状の改善を求めている患者さんがご来院されると、その分け方はどう行ってらっしゃるんですか?
智則さん:まずは、二人そろっていれば、患者さんのお話をじっくり伺い、それぞれ特色があるので、どっちがやった方がいいのか決めています。これなら鍼の方が良いとか、今日は電気をやりましょう、とか。
令子さん:例えば顕著なのは、ギックリ腰。鍼を行うこともあるのですが、鍼に過敏になっている部位もあるので、「ここは電気で治療しましょう」というご提案を行います。ほんとに人それぞれですね。その人その人の症状やその日の状態によって治療方法を考えます。特にうちの電気は、プロのアスリートも使っているもので、3台で18種類のアプローチの仕方がありますし、鍼も太さや長さ、どういう打ち方をするかでも異なってくるので。その人のその日の状態を診て、オーダーメイドの治療を心がけています。
腰痛ひとつとっても、動作など背中が堅いから腰に負担がかかっているとか、足の筋肉が堅いのが要因だ、とか。骨盤がバランスが崩していることからきてたり、いろいろなので、まずはいろいろお話を伺ったり検査したりする中で、その方の動きや習慣などによる原因を探るようにしていますね。
智則さん:痛みをとるのももちろんなんですが、再発しないようにすることも心がけています。たとえば、肩が痛いという方の原因が姿勢が悪いとしますね。そうすると、姿勢自体を改善してあげないといけないんですけど、「姿勢よくしましょう」と言っても変わらないわけですよね。じゃあ、胸の筋肉の緊張をとって、お腹の筋肉をつけてあげれば姿勢は良くなるので、それをたとえば電気の機械で筋肉をつけてあげる、とか。そういうことをすることによって痛みをとるだけじゃなく、その人にとって、私たちのモットーである「いごこちの良い身体」を維持してもらうことが大切だと思っています。どうすればその患者さんが今後痛みのない生活を送れるか、提案してあげたいんです。そのときに、メジャーリーガーなどプロのアスリートがケガの治療や筋トレでつかっている電気の機械をやってもらったり、鍼灸をやってみたり。最初、整骨の方で来ていた患者さんでも、「急性期の症状は治まったけど、周囲の筋肉が硬いとまた負担がかかってしまうので、次回は鍼をやってみましょうか」みたいなことは実際多いです。
令子さん:逆に、腰痛の症状で針灸の治療でみえて、「この方、腹筋が弱いのも要因のひとつだな」と思っても、腰痛いと腹筋できないじゃないですか。そのときにアスリートもケガのときに使っている「身体を動かさなくても腹筋が鍛えられるマシン」で寝ながら腹筋鍛えてもらうなんてこともね。そういう連携でやってます。
そうなると、もうちょっとこの電気の機械のお話をききたくなってきますね(笑)
智則さん:周波数によっていろいろな使い方ができる機械なんですね。たとえばギックリ腰急性期のものでいきなり今日痛くなったという方と、日常的に痛くなった慢性的に痛いという方とは原因が全く別なんです。何か重いものを持って痛くなった方と毎日パソコン仕事で痛くなったという方は別なんですね。そういう場合、電気の周波数を変えてその方の原因に合ったものを当てます。同じことで、しびれがある方にはしびれを緩和する周波数、筋肉の緊張を緩める周波数、ケガのときにはケガをとる周波数、さっき話した筋肉を鍛えるための周波数というのもあるんですね。
で、明日が試合の高校生がギックリ腰をやってしまった、というような場合。筋肉の緊張を緩めて痛みをとるだけだど、力が出なくなりすぎてパフォーマンスに影響するので、そのときには、筋肉の緊張をとるだけじゃなくて、緩めながら力をいれやすくするための周波数というのもあるんですね。
令子さん:アスリートの方は特に、「はやく治りたい!」という方は多いですからね。たとえば、肉離れのときに、鍼で周り筋肉のテンションを変えたり、周囲の組織の治癒促進をしたりしますけど、傷めて炎症起こしているところへの直接アプローチが難しい場合があって。その点電気療法は急性期でもリスクなく施術していけるので早いですね。
智則さん:捻挫や骨折なども、電気を流すことにより治癒促進になるので、痛みをすばやくとりたい方のご提案として使っていますね。ケガや交通事故の後遺症などは、ご本人にとって24時間つきまとう本当に深刻な悩みになっているケースが多いので、できるだけ早く緩和していただくための選択肢としてご提案させてもらいます。
実はぼく自身、手技にこだわりがあるので、手技の技術で患者さんの痛みをとってあげたいと思っていたのですが、こんなにすごい機械があることを知ってからは「患者さんのためになるなら!」と導入しました。
さきほどお話がでました交通事故に関してなのですが、後遺症など特に辛い症状の方が多いときいています。交通事故の患者さんに対するそうずみさんのアプローチとはどのようなものなのでしょうか?
智則さん:交通事故治療というのは、保険の関係もあって、だいたい3ヶ月、4ヶ月くらいで打ち切りになってしまうですが、そこで完全に良くならないケースもあるんですね。そういった場合どうすればいいのか、といったアドバイスを当院では行っています。交通事故による痛みについて無料相談もやっています。
令子さん:交通事故による痛みで、深刻に悩んでお見えになる方も多いのが現実なんですね。交通事故のあとから吐き気が収まらないとか。突然の衝撃で起こる首の筋肉のひきぬき(むちうち)損傷によってって筋肉の状態がバランスを崩して結果、自律神経症状が乱れて、吐き気やめまいなどがでてしまうことが多いんですね。これはレントゲンやMRIではわからないことなので、周りに理解者がいないと交通事故が原因と気づかない場合もあったりして。女性とか泣いてくる方もいます…。なので、実際にむちうち損傷をやっていしまった多くの方に出る症状だという事や、身体にどういう事が起こっているのかっていうことをお話させてもらいながら。特に交通事故はできるだけ早期に治療したいんですよ。むちうちの後遺症ってもう何年も前に交通事故したなんてケースもあったりして。鍼灸では交通事故の後遺症でみえる方も割と多いんですけど。20年前の事故でいまだ首が回らないとか。だからこそ、そうならないように、急性の症状を整骨院の方で、アンバランスなまま硬くなってしまった筋肉を固まらないようにアプローチしますね。時間が経過してしまっていても、鍼灸で緩和できるケースもありますので。でも、やっぱりできるだけ早期の治療をさせてもらえればというのが願いですね。意外と軽くぶつかった事故でも、身体に影響がでることがあります。頭って5㎏くらいあるので、それが突然変な方向に持っていかれるわけで…。
特に女性は首が細い方が多く、負担がかかりやすいためか、吐き気やめまいがお辛いというケースも多いですね。吐き気やめまいは日々のことですし、こういう状態で仕事や家事をしないといけないわけですから。あとは時間の経過とともに、首の筋肉のアンバランスさが腰にまで波及してきたりとか。
智則さん:なかなか整骨院で保険適用の交通事故の治療を受けられることを一般の方は知らないので、まずはご相談いただきたいと思っていますね。ご予約いただければ無料相談で、うちではどんなことをやっているのかを実際体験し、ご説明させていただきますので、交通事故のあとから、なんか変だな、と感じているようであればお気軽にごご来院していただきたいと思っています。
ありがとうございます!最後になりますが、ご来院されてい方達と接している中で、どのようなことを伝えていきたいとお考えですか?
令子さん:なるべく、その人本来の身体に戻ってほしい、という想いでやっています。次に来ていただいたときに、「これまでお休みしていたお稽古を再開できたよ」とか、「仕事がスムーズにできるようになったよ」とか、笑顔と一緒にそういう言葉をいただけるとやっぱりやりがいというか、やっててよかったなーと感じますね。
智則さん:お話をすると、「この痛みとは一生付き合っていかないといけない」と諦めている方も結構多いんです。もうちょっとほかの選択肢もありますよ、っていうことをご提案していきたいですね。前にいた整形外科の先生が、膝と肩について熱心にやられている方だったんですね。そこについていたおかげで膝と肩については、特に多く経験を積まさせてもらい経過を細かく診ることができるようになりました。だから今も膝の治療は思い入れが深く、特に特化して行っています。正座できなかった方ができるようになったとか、最初杖をついていた患者さんが数回ご来院されるうち杖が必要なくなったとか。そのためにはその方の頑張りが一番必要なんですが、運動指導もやっているので、その人の生活がいごこちの良いものになるための提案とサポートをこれからもしっかりしていきたいと思っています。